2026年10月2日
Vercelの料金で100万円超えの請求?無料とProの違い、止める設定と対処法
9月22日、こんなポストが流れてきました。
あーー、やってしまったーーーバイブコーディングしてたら先月のVercelの請求120万円になってしまった。設計ミスった…and ボットによる大量アクセス受けてしまったっぽい
(kazuki さん/@kzkhykw)
弊社も、AIに手伝ってもらいながら Vercel でいくつもサイトやツールを作っています。
読んだ瞬間、弊社のは大丈夫か、気になりました。
それで調べてみました。分かったことがかなりあったので、シェアします。
Vercelの料金は、いくら?
Vercel のプランは3つです(2026年10月1日時点)。
プラン | 月額 | 含まれる量 | 超えたら |
|---|---|---|---|
無料(Hobby) | 0円 | 転送量100GBなど | 止まる |
Pro | 1人20ドル | 転送量1TBなど | 止まらない |
Enterprise | 見積もり | 個別 | 個別 |
転送量は、サイトから見に来た人へ送ったデータの量です。アクセスの数は、無料も Pro も月100万回まで入っています。
無料は仕事のサイトに使えません。止まったら、30日待てば戻ります。
Pro の20ドルは1人ぶんで(自分も1人に数えます)、使った分の代金も20ドルまでは込みです。公開作業をする人が1人増えるごとに月20ドル。見るだけの人は無料です。
表でいちばん大事なのは、右端の列です。120万円の請求は、ここから起きました。
120万円は、何にかかったお金だったのか
kazuki さんは、後日いきさつを記事にまとめています。
サイトは、友人のテスト用に公開したまま置いていたもの。使っている人は、ほぼいませんでした。
問題は、トップページの作りです。
ページが開かれるたびに、サーバーが同じサイトの別の場所へ、登録されていた約750人分のデータを取りに行っていました。
お店でいえば、お客さんが入ってくるたびに、倉庫まで商品を全部取りに行って並べ直すようなものです。
1回に運ぶ量は約2.9MB。高画質の写真1枚ぶんくらいの重さです。
そのトップページを、ChatGPT と Claude の巡回ロボット(GPTBot と ClaudeBot)が開き続けていました。多い日は1日約250万回。
お客さんはいないのに、ロボットが入ってくるたびに倉庫との往復が起き、運んだ量に応じて請求が積み上がりました。
請求のうち約80万円が、この「運んだ量」(転送量)でした。残りは、サイトの中でのデータの受け渡しや処理の代金と、消費税です。
kazuki さんは Vercel に相談し、ログを見せて減額を交渉しています。
2回に分けて減額してもらい、合計で約30万円。支払いは約90万円になったそうです。
弊社のサイトを調べて、分かったこと
無料プランは、仕事のサイトに使えない
Vercel の無料プラン(Hobby)には、こう書かれています。
Hobby teams are restricted to non-commercial personal use only.
(Hobby は、商用でない個人の利用に限ります)
広告を載せることも、商用に入ります。
弊社の会社のホームページは、この無料プランで動いていました。
規約の上では、使ってはいけない状態でした。
ただ、無料プランには良い面もあります。枠(転送量は月100GBなど)を使い切ると、お金がかかる代わりに止まります。30日待てば戻ります。
120万円の請求が来ることは、ありません。
(どれだけ使っているかは、Vercel の管理画面の「Usage」で見られます)
ただ、仕事のサイトが30日止まるのは困ります。だから仕事なら、有料に上げることになります。
有料にすれば安心、でもない
有料のプランは、月20ドルの Pro です。
9月8日から、新しく Pro にした人は、転送量が定額になりました。月1TBまでは20ドルの中に入っていて、ある日だけ跳ねても請求は増えません。
120万円のうち約80万円だった転送量は、いまならこの定額に入ります。
ただ、残りは定額に入りません。kazuki さんの件でいえば、サーバーが別の場所へデータを取りに行った分(約30万円)と、サーバーの中での処理(約5万円)です。ここは、使った分だけ請求されます。
ページを開くたびに倉庫まで取りに行く作りなら、いまの Pro でも積み上がります。
(9月8日より前から Pro の人は、自分でオンにするまで転送量も使った分です。管理画面の「Billing」で「Flat Rate CDN」がオンかを見られます)
Pro には「使いすぎたら知らせる」設定があります。新しく Pro にした人は、最初から「200ドルを超えたら知らせる」が入っています。
でも、これは知らせるだけです。公式の説明にこうあります。
Setting a spend amount does not stop usage on its own.
(金額を決めただけでは、使用は止まりません)
止めたいなら、「Pause Production Deployments」をオンにします。決めた金額を超えたら、サイトの公開を止める設定です。
止まるまでに数分かかることがあります。止まっている間、見に来た人にはエラーの画面が出ます。金額を上げても自動では戻らず、自分で再開します。
つまり、無料なら止まるのに、お金を払い始めた瞬間から、止まらなくなる。何も設定しなければ、そうなります。
オンにすれば、請求が際限なく積み上がることは防げます。
その代わり、使いすぎたときはサイトが止まります。
お金を取るか、サイトを開け続けるか。どちらを優先するかを、前もって決めておくことになります。
機械のアクセスは、誰も見ていないサイトにも来る
弊社が会社のホームページの置き場所を変えたとき、切り替えから数分のうちに、こんなアクセスが並びました。
「/setup.php」「/tracking.php」——管理画面や設定ファイルを探すアクセスです。
弊社のサイトには、どちらも存在しないページです。自動で穴を探して回るプログラムが、片っ端から叩いていました。
人が見に来るかどうかと関係なく、機械は来ます。そして、来た分だけアクセスの数は増えていきます。
kazuki さんの件も、開いていたのは人ではなく、AIの巡回ロボットでした。
代わりの置き場所は、Cloudflare
調べていくと、名前がよく挙がるのが Cloudflare です。
いちばん大きな違いは、転送量です。Cloudflare の料金表には、こう書かれています。
There are no additional charges for data transfer (egress) or throughput (bandwidth).
(転送量に追加の料金はかかりません)
120万円の内訳でいちばん大きかった約80万円は、転送量でした。
その項目が、Cloudflare では料金の対象になっていません。
Vercel も新しい Pro なら定額の枠に入りますが、Cloudflare には、その枠もありません。
無料プランは、アクセス1日10万回まで。超えると、お金はかからずに止まります。
有料は月5ドルから。月1,000万回のアクセスまでが含まれ、超えた分は100万回ごとに0.30ドル。商用の制限もありません。
有料プランは、使いすぎても止まりません。アクセスの数に応じて請求は増えます。
ただ、120万円の大半を占めた転送量は、0円のままです。
で、どっちがいいの?
Vercel には、選ばれるだけの理由があります。
Vercel は Next.js(サイトを作る仕組みの1つ)の開発元なので、Next.js で作ったものは手を加えずにそのまま載ります。
違うのは、使いすぎたときに、止まるか、請求が積み上がるかです。
何もしなくても止まる | 何もしないと請求が積み上がる | |
|---|---|---|
Vercel | 無料プラン(30日待てば戻る) | 有料プラン(転送量は定額の枠。サーバー側の通信と処理は使った分。200ドルで知らせるだけ。止めるには設定をオン) |
Cloudflare | 無料プラン(1日10万回で止まる) | 有料プラン(アクセス数の分は増える。転送量は無料) |
AWS | 無料プラン(課金はされない。期間か枠が尽きるとアカウントが閉じる) | 有料プラン(予算を決めても知らせるだけ。知らせが届くまでに遅れがある) |
AWS(Amazon の置き場所)も候補に入ります。できることは一番多いのですが、使いすぎを自動で止めるには、別の仕組みを自分で組む必要があります。
弊社の選び方はこうなりました。
- 試作や遊びのサイト → Vercel の無料プランのままでいい。使いすぎても止まるだけで、請求は来ない
- 仕事のサイトで、いまの Vercel のまま続けたい → Pro にして、「Pause Production Deployments」をオンにする
- 仕事のサイトで、月の費用を小さく、転送量を気にせず置きたい → Cloudflare
迷ったら、まず2つ目です。いま動いているものを触らずに、今日のうちにできます。
弊社は、3つ目を選びました。
月の費用を抑えたかったことと、AIの巡回ロボットが増えても、転送量で請求が膨らまないことが決め手です。
明日やること
Vercel で何か公開している人は、まずこの3つを見てください。
- プランを確かめる。Vercel の管理画面で、無料(Hobby)か Pro かを見る。仕事のサイトが無料なら、Pro に上げるか、置き場所を考える
- Pro なら「Pause Production Deployments」をオンにする。管理画面の「Spend Management」にあります。あわせて「Billing」で Flat Rate CDN がオンになっているかも見る
- ページを開くたびに、重い処理をしていないか確かめる。作ったAIにそのまま聞けます
このサイトで、ページを開くたびにサーバーが同じサイトの別の場所へデータを取りに行っていないか調べてください。あれば、毎回取りに行かずに済む形(保存しておく、または前もって作っておく)に直す案を出してください。
使っていないテスト用のサイトなら、止めてしまうのがいちばん安全です。
AIの巡回ロボットを断る設定(robots.txt)もあります。
ただ、仕事のサイトでこれをすると、ChatGPT などに会社のことを紹介してもらえなくなります。断るのは、使っていないサイトだけにしておくのがいいと思います。
Cloudflare に移すなら、ここだけ気をつける
移すと決めた人向けに、弊社が移したときに引っかかったことを2つだけ書きます。
1つ目は、壊れても画面には何も出ない所があること。
たとえば、記事を更新してもサイトに反映されなくなる設定の漏れ。エラーは出ず、ブラウザで見る限りは普通に動いています。
弊社では、本番に出す前にこういう所がいくつも見つかりました。
2つ目は、ドメインの設定を全部写すこと。
ドメインには、メールや外部サービスとつなぐための設定が何件も付いています。弊社は14件だと思っていたら、実際は25件ありました。
写し漏らすと、エラーも出ずに、数週間後に「メールが届いていない」と気づく形になります。
どちらも、作ったAIに頼むときに一言添えれば防げます。
サイトの置き場所を Vercel から Cloudflare に移したいです。画面では普通に見えても壊れている所(記事の更新が反映されない、など)が出ないよう、移す前と後で同じかを1つずつ確かめる手順にしてください。ドメインの設定は、いまの管理画面の一覧から全件を写してください。
どこまで確かなの?
- 料金と設定は、Vercel・Cloudflare・AWS の公式ページで2026年10月1日に確かめたものです。Vercel:料金表・Hobby・Pro・Flat Rate CDN・Spend Management/Cloudflare:料金・無料の上限
- 120万円の件の数字は、kazuki さんご本人の記事に書かれたものです。8月分の請求で、Flat Rate CDN が始まる前のことです
- 転送量の定額(Flat Rate CDN)は、月の合計が枠を超え続けると、翌月から上の段(月20ドル・100ドル・300ドルの追加)に上がります。いちばん上の段も超えると、使った分の請求に戻ります
- 転送量の項目が Cloudflare で無料なのは確かですが、ページを開くたびに重い処理をする作りは、どこに置いても負担になります
