2026年10月13日
「検討します」と言われたら、切り返さずに次の日付を決めてもらう|押し売りしない5つの手順
個別相談の終わりに、相手がこう言います。
「一度持ち帰って、検討します」
自分の講座やサービスを自分で売っている方なら、聞き慣れた一言です。
そこで「検討しますと言われたら」と調べると、出てくるのは、切り返しのトークや、その場で決めてもらうコツです。
でも、押し売りはしたくない。
かといって「承知しました。落ち着いたらご連絡ください」と引くと、そのまま連絡が来ない。
押すか、引いて待つか。この記事の答えは、そのどちらでもありません。
「検討します」と言われたら、どう返せばいいの?
「検討します」を覆そうとせず、「今日は申し込まなくて大丈夫です」と伝えたうえで、次の日付を相手に決めてもらいます。
次の日付とは、相手がもう一度考えて、連絡をくれる日のことです。
そのための手順が、次の5段です。順番があります。
- お金が理由かどうかを、先に確かめる(分割・後払いがある商品のとき)
- 「今日は申し込まなくて大丈夫です」と、決めるのを相手に返す
- 「またあります」と、次の機会があることを伝える
- 次の日付を、相手に決めてもらう
- 説明会なら、残った人に向けて一言添える
1〜4は、1対1の個別相談でも、説明会でも使えます。5だけは、説明会のように何人かが同じ場にいるときの段です。
この5段は、弊社(このブログを書いている会社です)が、お客さまとの打ち合わせの中で使われている手順を、記録から抜き出したものです。ここからは、弊社がその場でどう返しているかと、口に出すときの言い方の例を、1段ずつ書きます。
切り返して押すか、引いて待つか。どっちがいいの?
弊社の見方では、どちらを選んでも、その相手との関係はそこで終わりやすくなります。
取る手 | その場で起きること | 相手の手元に残るもの |
|---|---|---|
押す(「今だけ」「残り2枠」) | 決まることもある。決まらないと空気が落ちる | 押された記憶 |
引く(「落ち着いたらご連絡ください」) | 穏やかに終わる | 次の予定が何もない状態 |
この記事の手(今日は決めなくていいと伝え、日付を置く) | 相手が、次に考える日を決める | 次がある前提と、日付 |
「今だけ」「残り2枠」のように、期限や残りの少なさを見せて決断を急いでもらうやり方を、希少性で締める、と言います。決まりやすくなることは、売っている人なら体で分かっていると思います。
困るのは、それでも決まらなかったときです。押されて決めなかった相手は、次の案内に返事をしにくくなります。商品のことより、押されたことのほうが記憶に残るからです。
引いた相手も、戻ってきにくい。「落ち着いたら」には、次の予定が1つも入っていないからです。
決まらなかったとき、押す手と引く手で違うのは、別れ際の丁寧さだけです。どちらも、次の日付を相手の手元に置いていません。
① 「予算がちょっと…」と言われたら、引くしかない?
「今日は申し込まなくて大丈夫です」と伝える前に、お金が本当の理由かどうかを確かめます。
弊社では、こう返しています。分割や後払いでもかまわない。お金の用意ができてから払ってもらえればいい。
口に出すなら、たとえば「分割や後払いもできますよ。お金の用意ができてからで大丈夫です」。
これを聞いたうえでも決めないなら、払い方のほかにも理由がありそうだ、と分かります。そのときは、②へ進みます。
前提が1つあります。分割や後払いを本当に受けられる商品でないと、この一言は言えません。用意が無いまま言うと、守れない約束になります。
一括払いしか無い商品なら、①は飛ばしてかまいません。そのときは、お金の話はせずに、②の「今日は申し込まなくて大丈夫です」だけを伝えて、③④へ進みます。お金が理由かもしれない人に「決めるのはあなた」と言うと、責めているように聞こえるからです。
やりがちな外し方:お金の話が出たとたん、こちらから「今回は難しそうですね」と引く。
気を遣ったつもりでも、これでは、お金が本当の理由だったのかどうか分からないまま終わります。
② 事情を聞くと、条件を下げてあげたくなる
条件は動かさず、「今日は申し込まなくて大丈夫です」と、決めるのを相手に返します。
①のあとでも決まらないとき、弊社では、こう返しています。今日は申し込まずに帰ってもらってかまわない。始めるかどうかは本人が決めることで、こちらが変えることはできない。
口に出すなら、たとえば「今日は申し込まなくて大丈夫です。始めるかどうかを決めるのは、〇〇さんですから」。
「今回は見送りにしましょう」と、こちらから言い切る必要はありません。「今日は申し込まなくて大丈夫です」なら、見送るかどうかを決めるのは、相手のままです。
やりがちな外し方:相手の事情に同情して、その場だけ条件を下げる。
下げると、2つのことが起きます。
- その相手は、次も同じ条件で来ます。一度下げた線は、その相手との間では戻りません
- 説明会なら、見ていた人も同じ条件を待つようになります
③ 最後に「今だけ」と言わないと、決まらないのでは?
ここが、この手順の中心です。「今日は申し込まなくて大丈夫です」と伝えた直後、相手がまだ席にいるうちに「またあります」と伝えます。
弊社では、こう返しています。こういう機会は、これからも何度も案内する。そのときに来てもらえばいい。「今だけ」とは言いません。
口に出すなら、たとえば「こういう機会は、これからもあります。そのときに、また来てもらえれば」。
売り方の常識とは逆です。ふつうなら、最後に希少性を足して押し込むところです。
「今だけ」と言われて見送った人には、その商品のことを、もう一度考える理由が残りません。次は無いと言われたからです。
「またあります」と言われて見送った人には、「では、次はいつにしようか」という問いが残ります。その問いに、④で日付という答えを入れてもらいます。
講座のように回を区切って募集していない商売でも、伝えることは同じです。「今回でなくても、また受けられます」と言えば、次があることは伝わります。
やりがちな外し方:最後にもう一度だけ「今だけ」を足して押し込む。それで決まらなかった相手には、戻ってくる理由が残りません。
④ 「落ち着いたらご連絡ください」で終えるのは、だめ?
「またいつか」は来ません。次の日付を、相手に決めてもらいます。
何か月後にするかは、相手の事情で決まります。こちらが決めるのではなく、聞いて決めてもらいます。たとえば「一年後の何月何日」のように、何月何日まで決めて、手帳に書いておいてもらいます。その日が来たら、相手から「次に入れてください」と連絡をもらいます。
口に出すなら、たとえば「次は、いつ頃がよさそうですか。何月何日と、手帳に書いておいてもらえますか」。
顧客の一覧では、その人を「失注」(決まらずに終わった商談)にせず、決めた日付を書いておきます。一覧の日付は、その日が来たことに、こちらが気づくための印です。
その日が過ぎても連絡が無かったらどうするかは、弊社の記録にはありません。ここからは、この記事からの助言です。日付が来たら、こちらから一度だけ、短く確かめてください。相手が自分で決めた日なので、押し売りにはなりません。
やりがちな外し方:「落ち着いたらご連絡ください」で終える。落ち着く日は来ません。期限のない「また」は、実質の見送りと同じです。丁寧に聞こえるぶん、こちらも相手も、終わったことに気づきにくくなります。
⑤ 説明会で申し込まない人が出たら、場の空気が重くならない?
1対1の個別相談や、終わると全員が一斉に抜けるオンラインの説明会なら、残る人がいないので、この段はありません。
同じ場に何人か残っていて、申し込まずに席を立つ人が出たときは、残った人に向けて一言添えます。弊社では「あの方は、きっとまた戻ってきますよ」と伝えています。
残った人が受け取るのは、「決めずに帰ることは、失敗ではない」という受け止め方です。
帰った人が冷たく扱われなかったのを見れば、残った人は、自分の判断も同じように扱われると分かります。その場で申し込むと決めた人も、安心して決められます。
やりがちな外し方:何も言わずに次へ進む。残った人は、その沈黙を自分で埋めます。「決めなかったら、自分もあんなふうに扱われるのかもしれない」と。
順番を入れ替えたら、どうなるの?
前の段が、次の段の足場になっています。
- ①を飛ばして②の「決めるのは〇〇さん」だけを言うと、お金が無いだけの人を詰めているように聞こえます。①が使えない商品なら、②のこの一言は言わずに③④へ進みます
- ②を飛ばすと、今日申し込むのかどうかがはっきりしないまま「またあります」を言うことになり、ただの引き止めに聞こえます
- ③を飛ばすと、次があるか分からない話に日付を入れることになります。相手は手帳に書きません
だから、③と④は続けて言います。④まで来たとき、相手の手元に残るのが、次の日付です。
これ、押し売りに使えてしまわない?
使い方を間違えると、逆に働きます。この5段は、押さないための手順です。見送りをひっくり返す技術ではありません。
②の「決めるのは〇〇さん」を、相手を詰めるために言えば、追い込む言葉になります。③の「またあります」を、引き止めるために言えば、ただの営業文句です。
まとめ:明日やること
「検討します」と言われたとき、調べて出てくるのは、切り返して決めてもらう方法です。
押したくないなら、決まらなかったことをそのまま受け止め、次の日付を相手に決めてもらう。明日からやることは3つです。
- 次に「検討します」と言われたら、「落ち着いたらご連絡ください」で終えない
- 「今日は申し込まなくて大丈夫です」「またあります」と伝えてから、次はいつ頃がよいかを聞き、何月何日と決めてもらう
- 顧客の一覧で、その人を「失注」にせず、その日付を書いておく。日付が来たら、こちらから一度だけ短く確かめる
2つ目は、続けてこう言います。
今日は申し込まなくて大丈夫です。こういう機会は、これからもあります。次は、いつ頃がよさそうですか。何月何日と、手帳に書いておいてもらえますか。
「またあります」と「次はいつ頃?」は、続けて言ってください。「またあります」が無いと、相手は日付を手帳に書きません。①は分割や後払いがある商品のとき、⑤は説明会で残る人がいるときに足してください。①②の言葉は、押すためには使わないでください。
この5段は、弊社のお客さまとの打ち合わせの中で使われている手順です。戻ってきた人の割合や成約率までは測っていないので、まずは次の1人で試し、一覧の日付が来たときに、相手がどう動いたかを見てください。
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