2026年10月28日

オファーとは? マーケティングで「何を・いくらで・どんな条件で」差し出すかのこと

オファーとは? マーケティングで「何を・いくらで・どんな条件で」差し出すかのこと

講座やコンサルを売っていると、個別に話した相手から、こういう返事を聞くことがあります。弊社が講座を案内したときに、実際に言われた言葉です。

「すごく使いたいとは思うけれども、そのシステムの形だとちょっと使えないなみたいな感じ。」

中身を否定してはいません。むしろ興味はある。それでも申し込みには進まない。

こうなると、手を打ちたくなります。値段を下げる。特典を足す。「今月中なら」と期限を付ける。説明の文章を書き直す。

それでも、返事は変わらないことが多いものです。下げた分だけ安っぽく見え、足した分だけ説明が長くなります。

値段を下げて押し込むより、相手が自分から「それなら入る」と言える形で差し出したい。そのほうが、売る側も買う側も気持ちいいですよね。そのために見直すのが、「オファー」です。

オファーとは? 商品とは何が違うの?

マーケティングでいうオファーとは、お客さんに「何を・いくらで・どんな条件で」差し出すかの組み合わせです。転職でいう「オファー(企業からの採用の申し出)」とは別の意味です。

商品は、差し出す中身そのものです。オファーは、その中身に値段・払い方・期間・サポートの形・保証・特典などの条件を付けた、お客さんが実際に「申し込むかどうか」を決める対象です。

たとえば、同じ文章の書き方の講座でも、次の2つは別のオファーです。

  • 3か月・毎週のグループ講座・一括払い
  • 月額・分からない所だけ個別に質問できる・いつでもやめられる

教える中身は同じでも、お客さんが比べているのは「この条件で、この額を払う価値があるか」です。だから、中身を1行も変えなくても、オファーが変わると売れ方が変わります。

講座やコンサルだと、何がオファーになるの?

講座やコンサルで考えると、オファーはだいたい次の部品でできています。

  • 中身の形:動画や資料で学ぶ/グループで教わる/個別で見てもらう/道具を使える
  • どこまで一緒にやるか:自分でやってもらう/一緒にやる/代わりにやる
  • 期間:1回/3か月/月ごとに続ける
  • 値段と払い方:一括/分割/月額
  • 保証:合わなかったときにどうなるか
  • 特典:本編とは別に付けるもの
  • 期限や数の限り:いつまで、何人まで

自分の講座を、この部品に分けて書き出してみてください。「何を売っているか」を聞かれて講座の中身だけを答えていたなら、お客さんが判断している部分の半分以上を、まだ言葉にしていないことになります。

いまの商品の上に「一緒にやる版」を用意して、買ってくれた人に勧める話は、こちらにまとめています。

良いオファーと弱いオファーは、何が違うの?

お客さんは、値段を見て「高い・安い」を決めているように見えます。けれど実際に比べているのは、値段と、その条件で手に入るものの重さです。アメリカの起業家アレックス・ホルモジが『$100M Offers』という本で広めた考え方では、手に入るものの重さは4つで決まります。

  • 手に入る結果が大きいほど、重い
  • それが本当に自分にも手に入りそうだと思えるほど、重い
  • 手に入るまでの時間が短いほど、重い
  • 自分がやらなければいけない手間が少ないほど、重い

この4つが重ければ、同じ値段でも「安い」と感じます。だから、値段を下げるのは、手の打ち方の1つにすぎません。ほかに、

  • 手に入る結果を、相手の言葉で具体的にする
  • 実際に手に入りそうだと思える材料を見せる(同じ立場の人の例、途中で見てもらえる仕組み)
  • 結果が出るまでの時間を短くする
  • 相手がやらなければいけない手間を減らす

という手があります。とくに見落とされやすいのが、後ろの2つ「時間と手間」です。中身が良くても、「それを自分がやるのか」と思った瞬間に、相手の中では価値が下がります。

売れないのは、オファーのせい? 文章のせい?

見分ける目安が1つあります。直接会って話すと決まるのに、文章だと反応が無いなら、文章を疑う。会って話しても決まらないなら、オファーを疑う。

会って話すと、こちらは相手の反応を見ながら説明を足せます。それでも「今はちょっと」で終わるなら、説明の上手い下手ではなく、差し出している条件そのものが相手に合っていない可能性が高い、ということです。

もう1つ、来る人の数と中身でも分けられます。相談や問い合わせ自体が少ないなら、オファーか、「自分にも手に入りそうだ」と思ってもらう材料(同じ立場の人の例など)の見せ方を疑う。人は来るのに、来る人が売りたい相手と違うなら、オファーより手前の「誰の、どんな悩みを解決する商品か」を疑います。

文章の側を疑うときの見直し方は、こちらにまとめています。

「いいけど、今はちょっと」と言われたら、何を直せばいいの?

多くの場合、断られているのは商品ではなく、条件のまとまりです。弊社の実例で説明します。

弊社は、集客の文章を書くAIの道具を作っています。お客さんが自分の商売の情報をその道具に覚えさせ、使うほど自分向けの文章が出るように仕上げていく3か月の講座を用意しました。3か月・毎週1回のオンラインのグループ講座・月1回のリアルの合宿・税込33万円。この講座は、10月の勉強会で4回案内して、申し込みは0件でした(10/18 時点)。

10月14日、資格の講座を運営している経営者の方と、オンラインで個別に話す機会がありました。道具を実際に触ってもらったうえで、3か月の講座を案内しました。返事はこうでした。

「なるほど、三ヶ月なんですね。短いですね。」

「三ヶ月、お宅のその学習だけに没頭するなんて不可能なんで。」

続けて、月1回のリアルの合宿を説明すると、

「もうそれ聞いただけでもうダメですね。私いけないもん。」

その方は、自分の道具の使い方をこう説明してくれました。いろいろなサービスに入ってはいるが、入ってすぐには使わない。年末のキャンペーンのような本番が来たときに、本腰を入れて使う。

「入ったとしても。すぐに使えないみたいな感じね。」

「ちょっととりあえず材料を集めてここに置いとこうみたいなそんな感じなので、三ヶ月しかダメで330,000って言われたらちょっと今ダメです。」

「すごく使いたいとは思うけれども、そのシステムの形だとちょっと使えないなみたいな感じ。」

冒頭の一言は、このときのものです。

道具そのものは、すごく好きだとも言っていました。断られたのは中身ではありません。「3か月のあいだに、決まった日に、決まった場所で学ぶ」という条件のまとまりです。その方の言葉でいえば「システムの形」です。

そして、その方のほうから、こう言われました。

「新しいサポートシステム作ってくださいよ。そしたら私入るんで」

代表はその場で、知り合いの方に試してもらっていた月額の形をもとに、条件を組み直しました。

  • 月3万円(税込33,000円)・年間などの縛りなし
  • 動画を見て学ぶ形ではなく、分からない所だけチャットで聞ける
  • 最初に、使い始めの設定を一緒にやる
  • その方がいちばんやりたい年末のキャンペーンの設計を、オンラインで一緒に決める

返事は一言でした。

「だったら入る。」

そのあと、その方のほうからゴールが足されました。

「何か成果物を作るっていうゴールに向かってやらないとただ漠然と(道具の)一般的な使い方を学ぶっていうのは何の役にも立たないと思う。」

その方は、同じ日の夜に、弊社のサイトにある月額の申し込み(税込33,000円/月)から申し込み、支払いまで済ませてくれました。
このとき値段も同時に下がっているので、値段が効いた分はあります。ただ、その方が止まった理由は、値段だけではありませんでした。その方は道具を、本番が来たときに使います。3か月の決まった期間に、決まった日程で学ぶ形は、その使い方と噛み合っていませんでした。「短いですね」も「三ヶ月しかダメで」も、この噛み合わなさのことです。組み直した形は、期間の縛りを外し、学ぶ手間を「分からない所だけ聞く」まで減らし、手に入る結果を「自分の年末のキャンペーン」という本人の言葉に置き直しています。

「いいけど、今はちょっと」と言われたら、値段や特典より先に、相手がどの条件で止まったかを聞く。弊社の場合、答えは相手の口から出てきました。

「検討します」と言われたその場での返し方は、こちらにまとめています。

値引きや特典の盛りすぎをせずに、申し込みたくなるオファーにするには?

相手がもう持っているものは、特典にならない。勉強会の参加特典を「AIの道具の初期設定を一緒にやる」にしていましたが、申し込んだ人のアンケートを見ると、その道具をすでに使っている人が4人いました。社内の打ち合わせでは「セットアップはもう終わってる人いそうだよね」という声が出ています。特典は数を盛るものではなく、相手がまだ持っていなくて、次の一歩に要るものを選ぶものです。

結果につながらない項目は外す。中身を全部並べると、相手には「これを全部やらなければいけないのか」と重く見えます。4つのうちの「手間」が増えるのと同じです。

作った期限や数の限りは使わない。「残りわずか」「今だけ」を、本当は無いのに付けると、その場では決まっても、あとで信用が離れます。本当の締め切りや定員があるなら、それはそのまま書けばいい。

約束しないことと、やめたときの条件を、聞かれる前に言う。弊社の代表は、勉強会で講座を案内するとき、こう添えています。

「ちょっと売り上げの保証というのはできかねる部分です。」

あわせて、講座をやめても、それまでに作ったものはお客さんのものとして渡す、とも伝えています。相手が気にしているのは、期待どおりにならなかったときに何が残るかです。10月14日の方も、ほかで入ったサービスについて「一ヶ月で出ますって言ったら、いや、一年の契約なってますとか言われた」と話していました。「縛りなし」は、この不安を外す条件でもありました。

自分のオファーは、何から作り直せばいいの?

最初から完成形を決め打ちしない。小さく出して、止まった所を直す。

弊社の3か月の講座は、机の上で考えた「これが一番価値が伝わる形」でした。弊社の代表は同じ相談の中で、売り物の方向性も、調べ尽くして1つに決め打ちするより、いくつか出してみて当たったものを残すほうが早い、と話しています。オファーも同じです。

作り直すときは、次の順で考えます。

  1. 誰の、どこまでを引き受けるかを1行で書く(例:自分で教室を開いている人が、集客の文章を自分で書けるようになるところまで)
  2. いまのオファーを、上の部品(中身の形・どこまで一緒にやるか・期間・値段と払い方・保証・特典・期限)に分けて書き出す
  3. 断った人・迷っている人が、どの部品で止まったかを聞く
  4. 止まった部品を1つだけ替えて、もう一度出す

1つだけ替えるのは、何が効いたかを分かるようにするためです。一度に替えると、どれが効いたかが分からなくなります。1人から2つの部品を言われたら、ほかの人の答えと重なるほうから替えます。

値段を出すときは、相手が比べる先を一緒に示します。弊社の代表は、月額の値段を説明するときに、同じ仕事をする人を雇う場合と比べて高いか安いかで判断してほしい、と伝えています。講座やコンサルなら、同じことを外に頼んだ場合の費用や、自分ひとりで遠回りした場合にかかる時間が、比べる先になります。比べる先が無いと、値段はただの大きな数字に見えます。

明日やること:最近「今はちょっと」と言った人に、どこで止まったかを聞く

1. 最近、申し込みに進まなかった人を3人選ぶ
個別相談で「検討します」と言った人、説明会のあと返事が無い人。思い出せる範囲で十分です。

2. 1人ずつ、売り込まずに聞く
「先日はありがとうございました。今後の参考にしたいので、もしよければ教えてください。内容・期間・値段・進め方のどこかに、合わないと感じた所はありましたか」。申し込みを迫る話はしません。

3. 返ってきた答えを、部品ごとに並べる
期間で止まったのか、形(通う・決まった日・グループ)で止まったのか、値段で止まったのか。同じ部品が2人以上から出ていたら、そこが最初に替える所です。それが値段なら、値段を替えます。3人とも違う部品なら、次に断った人にも聞いて、重なるまで続けます。

4. その部品だけを替えたオファーを、次の1人に出す
ほかの部品は変えません。

答えの整理に迷ったら、ChatGPT などのAIに、下の文をそのまま貼ります。

自分は(講座・サービスの内容)を売っています。
いまのオファーは次のとおりです。
中身の形:(例:毎週のグループ講座)
期間:(例:3か月)
値段と払い方:(例:一括)
保証・特典・期限:(例:特典は初期設定のサポート)

申し込みに進まなかった人に「どこが合わなかったか」を聞いた答えは、下のとおりです。
(例:Aさん「3か月も時間が取れない」/Bさん「決まった日に参加できない」)

① 答えを、上の部品(中身の形・期間・値段と払い方・保証・特典・期限)のどれに当たるかで分けてください。
② いちばん多く止まった部品を1つ選び、その部品だけを替えた案を2つ出してください。ほかの部品は変えないでください。
③ 値段を下げる案は、最後の手段として1つまでにしてください。
条件:「今だけ」「残りわずか」のような急かす言葉は使わないでください。

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