2026年11月6日

書いた人:やまちゃん(株式会社バルコ)

ベネフィットとは? マーケティングでいう「商品を使ったあとに、お客さんに起きるいいこと」

ベネフィットとは? マーケティングでいう「商品を使ったあとに、お客さんに起きるいいこと」

「何かすごいのは分かったけど、使いこなせないみたいなイメージはある」

弊社の代表が、自社のサービスをまったく知らない人に一通り説明したときに、返ってきた言葉です。

すごさは伝わっています。良さも認めてもらえています。それでも、相手の口から「私もやりたい」は出てきません。

講座やコンサルを売っていると、こういう場面は何度もあります。説明会のあとに「良さそうですね」で終わる。個別相談で一通り話したのに「すごいですね」で止まる。

そうなると、説明を足したくなります。できることをもう1つ挙げる。回数やサポートの中身を書き足す。実績の数字を並べる。「特徴ではなくベネフィットを書け」と聞いて、解説記事で「ドリルを買う人が欲しいのは、ドリルではなく穴」という話も読んだ。

それでも、返事は「良さそうですね」のまま、ということが多いものです。足した分だけ説明が長くなり、自分の講座にとっての「穴」が何なのかは、はっきりしないまま残ります。

たくさん説明して分かってもらうより、相手が自分から「それなら私も」と言える一言を渡せるほうが、売る側も買う側も気持ちいいですよね。その一言に入れるのが、ベネフィットです。

ベネフィットとは、ひと言でいうと何?

マーケティングでいうベネフィットとは、商品やサービスを使ったあとに、お客さんの毎日に起きるいいことです。英語の benefit(得・恩恵)から来た言葉で、会社の福利厚生を指す「ベネフィット」とは別の話です。

お客さんがお金を払うのは、商品そのものではなく、それを使ったあとの自分が欲しいからです。

特徴やメリットとは、何が違うの?

商品の良さは、3段に分けて考えると整理できます。

  • 特徴:その商品に、何が付いているか
  • だから メリット:それで、何ができるようになるか(誰が使っても同じ)
  • だから ベネフィット:その結果、使う人の毎日がどう変わるか

特徴から「だから」で2回つなぐと、ベネフィットにたどり着きます。

メリットまでは、まだ商品の説明です。誰に言っても、同じ文になります。ベネフィットになって、やっと相手の一日の話になります。多くの人は、メリットで止まっています。「便利です」「早くなります」「安心です」は、どれもメリットです。「安心」はお客さんの気持ちですが、いつ・何が安心なのかが無いので、誰に言っても同じ文のままです。

見分け方は1つです。その一文を読んで、相手が自分の一日のある場面(いつ・どこで・どんな気持ちか)を思い浮かべられるか。浮かばなければ、まだメリットです。オンライン講座なら、「質問できるから安心」は場面が無いのでメリット。「夜中に手が止まっても、翌朝には続きから進められる」は、場面があるのでベネフィットです。

場面を書くには、相手の一日を知っている必要があります。だから、メリットは商品を見れば書けますが、ベネフィットは相手を見ないと書けません。

解説記事によっては、ベネフィットを「機能的」「情緒的」「自己表現」などの種類に分けています。書き漏れを減らすのには使えますが、種類を覚えても、自分の講座の一行は出てきません。

ここまでは、どの解説記事にもたいてい書いてあることです。

講座やコンサルだと、何がベネフィットになるの?

形の無いサービスで考えてみます。たとえば、片づけの個別コンサルをしている人がいます。

  • 特徴:全6回のオンライン面談・LINEで質問できる個別サポート付き
  • だから メリット:迷った所を、その日のうちに聞ける。どこから手を付けるか、一人で悩まなくていい
  • だから ベネフィット:夜、子どもを寝かしつけたあとにリビングを見て、ため息をつかなくて済む。週末が「片づけなきゃ」で終わらない

相手が事業主でも、考え方は同じです。たとえば、小さな会社の社長向けに、お金の管理の仕組みづくりをしているコンサルの人がいます。

  • 特徴:月2回の面談・会計ソフトの初期設定つき
  • だから メリット:領収書や請求書を、受け取ったその場でソフトに入れられる
  • だから ベネフィット:月末の夜に、領収書の束を前にして「これは何の支払いだったか」を思い出さなくて済む。税理士さんから聞かれても、その場で答えられる

LPやSNSの言葉が「全6回」「個別サポート付き」になっているなら、まだ特徴しか書いていません。

特徴も要ります。申し込む直前の人は、回数やサポートの形を見て比べます。ただ、特徴を読んで相手が思い浮かべるのは、講座の時間割です。自分の夜や月末ではありません。「私に要る」と思ってもらうのは、特徴ではなくベネフィットの仕事です。

同じサービスでも、相手が変わるとベネフィットは変わるの?

変わります。同じ片づけのコンサルでも、相手によって、使ったあとに起きるいいことは別物です。

  • 小さい子どもがいて共働きの人なら:寝かしつけたあとの部屋で、ため息をつかなくて済む
  • 実家の片づけを控えた人なら:親と言い合いにならずに、何を残すか決められる
  • 家で仕事をしている人なら:オンライン会議の前に、映る範囲だけ慌てて片づけなくて済む

売っているものは、3人とも同じです。違うのは、使ったあとに起きることです。

だから、ベネフィットは「この商品のベネフィットは何か」と商品から考えても決まりません。「誰に言うか」を決めてから、その人の毎日の場面で考えます。

ちゃんと良さを説明したのに、「すごいですね」で終わるのはなぜ?

冒頭の一言の続きを書きます。

10月、弊社の代表が、弊社で作っている集客の文章を書くAIの道具を、まったく知らない知人に説明しました。経営者ではない方で、説明会に初めて来た人と同じく、何も知らない立場で聞いてもらいました。

代表が話したのは、道具の特徴とメリットでした。細かい指示を書かなくても、うまくいった型をもとに文章を出してくれる。その人の商売の資料や勉強会の録画を覚えさせると、その人らしい文章になる。相手も「すごい」とは受け取ってくれました。

それでも返ってきたのは、冒頭の「すごいのは分かったけど、使いこなせない」でした。話の途中では、こんなたとえも出ています。

「いいカメラみたいな。いっぱい設定とか変えられてさ、カスタムとかマニュアルとかあるけど、結局普通のでしか使えないみたいな」

ベネフィットの解説でよく出てくるのも、カメラの例です。「高画質」が特徴で、「子どもの笑顔をきれいに残せる」がベネフィット。けれど、買う側からはこう見えていました。スペックが良いほど、「自分には使いこなせない」が強くなる。

そのあと、使い方を身に付ける勉強会の話をすると、こう返ってきました。

「じゃあ今の予定にプラスして、最初のうちは、なんかそういう勉強しないといけないんだって」

「絶対これいけんじゃんっていう、なんかビジョンがちょっとよく分かんないかも」

相手は、うまくいっている利用者の方も最初に勉強したのか、と聞きました。代表は、その人の資料や録画は全部自分が入れた、と答えました。すると、相手はこう言いました。

「でもそれはさ、みんな自分で入れないといけないわけでしょ」

代表は、そこで聞き返しました。

「じゃあ俺が入れますよって言ったら」

相手の返事が変わりました。「あ、もういいかもね」「それはいいんだ」「あ、入れてくれんだ」。それまで「すごいのは分かった」の外側にいた人が、初めて自分の側の話として反応しました。

振り返ると、相手は最初から同じことを言っていました。「使いこなせない」「今の予定にプラスして勉強しないといけない」「自分で入れないといけない」。言い方は3回変わっても、「でも」は1つです。

この人にとってのベネフィットは、その裏側にありました。今の予定に勉強を足さなくても、開いたその日から、自分らしい文章が出てくること。代表が並べた「型をもとに文章を出してくれる」「その人らしい文章になる」は、どれも、自分で入れ終わったあとの話です。この人は、その手前の「自分で入れる」で止まっていました。手前で止まっている人には、その先の良さは届きません。

ベネフィットは、相手の「でも」を聞けば見つかります。良さをいくら説明しても「すごいですね」で終わるのは、相手がまだ「でも」を抱えたままで、こちらがその「でも」を聞いていないからです。

特徴から「だから」で伸ばせば、ベネフィットの候補はいくつも出ます。ただ、そのうちどれが目の前の人に要るのかは、相手が止まった所を聞くまで分かりません。「俺が入れますよ」も、特徴としては「最初の設定をこちらでやる」を1つ足しただけに見えます。けれど代表が最初に並べた特徴に、これは入っていませんでした。どの特徴がこの人に要るのかも、「でも」を聞いて初めて分かったことです。

何を引き受けて、いくらで、どんな条件で差し出すかは、ベネフィットとは別に決めることです。そこまで知りたい方だけ、こちらにまとめています。

自分のサービスのベネフィットは、どうやって見つければいいの?

机の上で「だから」を伸ばす前に、お客さんがすでに口にした「でも」を集めます。

置いてある場所は、だいたい決まっています。

  • 問い合わせやDMに書かれた質問
  • 個別相談や説明会で聞かれたこと
  • 申し込まなかった人の返事(「今はちょっと」「もう少し考えます」の前後)
  • 申し込んだ人が、最初の面談で話した心配

「時間がない」「自分にできるかな」「前にも似たものをやって続かなかった」。こういう言葉が、そのまま材料です。

「高い」「期間が長い」のような値段や期間の「でも」は、別に分けておきます。裏返しても一日の場面になりにくく、言葉より、何をいくらで差し出すかを見直す材料になるからです。

残った「でも」を、1つずつ「それが無くなったら、その人の毎日はどうなるか」の一行にします。「続けられます」のように反対のことを言うのではなく、無くなったあとの一日の場面を書きます。

  • 片づけ「どうせ、またすぐ散らかる」→ 片づけた部屋のまま、来月の週末を迎えられる
  • 片づけ「捨てるのが苦手で、決められない」→ 迷った物を手に取っても、その場で残すか手放すかを決めて、次の棚に進める
  • お金の管理「経理は苦手で、会計ソフトを開くのも嫌」→ 月末になっても、会計ソフトを開く前の憂うつが無い

右側が、ベネフィットの候補です。もともと本人が言ったことの裏返しなので、読んだ人は「それ、私のことだ」と受け取りやすくなります。

大げさな約束にせずに、ベネフィットを書くにはどうすればいいの?

結果の大きさではなく、その人の一日の場面で書きます。

「人生が変わる」「必ず売上が上がる」は、ベネフィットに見えて、誰の毎日も描いていません。そのうえ成果は人によって違うので、言い切るほど嘘に近づきます。「月末の夜に、何の支払いだったかを思い出さなくて済む」は大げさではありませんが、読んだ人には自分の月末が浮かびます。

書く前に、確かめることが1つあります。その場面が、実際にお客さんに起きたことがあるか。誰にも起きたことが無い場面は、どれだけ良く見えても書きません。

起きた人は1人で足ります。ただし「皆さんこうなります」ではなく「こうなった方がいます」と、起きたとおりに書きます。まだお客さんがいなければ、試しに使ってもらった人に起きたことから書きます。

そのうえで、言ったことが本当だと分かる材料を、すぐ隣に置きます。

  • その場面を実際に話してくれた、お客さんの声
  • 実際に使っている画面や、やってみせる動画
  • 「最初の設定はこちらでやります」のように、相手の「でも」に答える具体的な中身

ベネフィットが「そうなりたい」を作り、隣の材料が「本当にそうなりそうだ」を作ります。

LPやSNS、個別相談では、どこで使えばいいの?

LP・SNSの投稿・メルマガやLINEの配信では、最初の一行に置きます。

読む人は、最初の一行で「自分に関係があるか」を決めます。そこに「全6回・個別サポート付き」が来ると、すでに申し込みを考えている人にしか読まれません。その人の場面が来ると、同じ場面を知っている人が手を止めます。特徴は、その下に置きます。

最初の一行を何本も書いて選ぶやり方は、こちらにまとめています。

個別相談では、ベネフィットをこちらから言うより、相手に言ってもらいます。「その悩みが無くなったら、どうなっていたいですか」と聞いて、返ってきた言葉で話を進めます。相手が自分の口で言ったベネフィットは、こちらが何度説明したものより強く残ります。相談の進め方は、こちらにまとめています。

明日、何から始めればいい?

1. 最近「良さそうですね」「でも…」で止まった人の言葉を、3つ書き出す
説明会や個別相談、DMのやりとりから。言い換えずに、相手が言ったとおりに書きます。値段や期間の「でも」は、別に分けておきます。

2. 1つずつ「それが無くなったら、その人の毎日はどうなるか」を一行にする
商品の機能や回数は入れません。その人の一日の、どの場面がどう変わるかだけを書きます。

3. 実際にお客さんに起きたことのある一行を選んで、LPの最初かSNSの1行目に置く
特徴は、その下に回します。

一行にするのに迷ったら、ChatGPTなどのAIに、下の文をそのまま貼ります。

私は(誰に)(何を)売っています。
説明したあとに、お客さんが言った言葉をそのまま貼ります。
「(言葉1)」「(言葉2)」「(言葉3)」

それぞれについて、その心配が無くなったら、その人の毎日がどう変わるかを、その人が使いそうな言葉で一行ずつ書いてください。
いつ・どこで・どんな気持ちか、の場面が分かる一行にしてください。
商品の機能や回数は書かないでください。
「人生が変わる」「必ず」のような大きな言葉は使わないでください。
数字は、私が渡したもの以外は使わないでください。

自分のサービスのベネフィットが、相手の言葉になっているかを見てほしい方は、お問い合わせフォームに、いまのLPかSNSの最初の一行を貼って送ってください。ベネフィットになっているかを、メールでお返しします。無料です。

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