2026年8月9日

外注に「なんか違う」と言い続けている人が、渡せていない3つの情報

外注に「なんか違う」と言い続けている人が、渡せていない3つの情報

制作を外注して、上がってきたものを開いた瞬間。

「悪くはない。けど、なんか違う」

どこが違うのか、うまく説明できない。とりあえず「もう少し親しみやすく」と返す。

直ってくる。まだ違う。3往復目あたりで、お互い少し疲れてくる。結局、自分で手を入れて終わる。

この記事は、その往復を減らすための発注のやり方の話です。

往復が起きるのは、正解が1つに絞れていないから

発注のとき、だいたいこういう情報を渡します。

  • ターゲット:30代〜40代の女性
  • トーン:親しみやすく、でも信頼感のある感じで
  • 参考:この3サイトのような雰囲気
  • 入れてほしい要素:実績、お客様の声、料金

足りているように見えます。ところがこの情報からは、正解が何十通りも作れてしまうんです。

「親しみやすく」の解釈だけで10通りあります。絵文字を使うのも親しみやすさ。敬語を崩すのも親しみやすさ。写真を大きくするのも親しみやすさ。

制作者はその中から1つを選びます。当たれば「いいですね」、外れれば「なんか違う」。

当たるかどうかが運になっている。3往復するのは当然です。

指示を細かくすると、別の場所で外れる

ここで多くの人は、指示を具体的にしようとします。「絵文字は使わないで」「敬語は崩さないで」「写真は小さめに」。

確かにブレは減ります。ただし指示していない箇所で、また外れます

見出しの言い回し、事例の選び方、ボタンの文言。指示しきれない箇所は無限にあります。全部指定するくらいなら、自分で書いたほうが早い。

それに、指示が細かいほど制作者は縮こまります。外すのが怖いので、無難な選択に寄っていく。結果、可もなく不可もないものが上がってきます。

必要なのは指示の量ではなく、制作者が自分で判断できる材料です。

渡すべき3つの情報

リフォーム会社のサイトを例にします。

1. お客さんが「何に裏切られてきたか」

リフォームの相談に来る人の多くが、過去に見積もりで嫌な思いをしています。「最初の金額から膨らんだ」「追加工事と言われて断れなかった」。

これを共有すると、制作者は「無料見積もり」を大きく打ち出すことを自分の判断で避けます。指示しなくても避ける。理由が分かっているからです。

渡さなければ、良かれと思って「無料見積もり実施中」を一番上に置きます。悪気はありません。情報がないだけです。

2. お客さんが実際に使っている言葉

問い合わせメール、アンケートの自由記述、面談での発言。要約せず、そのままコピーして渡します。

「リフォーム」と書く人と「そろそろ家を直したい」と書く人では、響く見出しが変わります。要約すると、この言葉づかいの差が消えます。

5件でも10件でも構いません。生の文章がそのまま材料になります。

3. 過去に「これは違った」と判断したものと、その理由

抜けている現場が最も多いのがこれです。

前回の制作で「この見出しは違う」と直した。でも、なぜ違ったのかは記録されていない。だから次も似たものが上がってきます。

残すのは直した結果ではなく直した理由です。「この層は◯◯だと感じるから」という形で書くと、別の場面でも応用が効きます。

渡し方で差がつく3点

同じ情報でも、渡し方で効き方が変わります。実務でやっているのはこの3つです。

1. 発注と同時に渡す。後出ししない。

「1稿目を見てから伝えよう」と考えがちですが、これが往復を生みます。制作者は1稿目に一番時間をかけるので、そこが外れると作り直しになります。最初に渡せば、1稿目から方向が合います。

2. 1枚のドキュメントにまとめて、更新していく。

メールやチャットに散らすと、制作者は探せません。1つのファイルにまとめ、案件が進むたびに追記します。次の発注ではそれをそのまま渡せます。

3. 修正するときは、必ず理由を添える。

「ここ直して」ではなく「ここは◯◯と受け取られそうだから直したい」。ひと言足すだけで、その理由が次回の材料になります。理由を言わない修正指示は、その場限りで消えます。

これは内製化を勧める話ではありません

誤解のないように書いておくと、外注をやめろという話ではありません。

むしろ材料が整理されると、外注のほうが速くなります。判断の往復が消えるからです。

3往復していたものが1回で決まれば、実質のコストは下がります。制作者側も、外れを恐れずに踏み込んだ提案ができるようになります。

ついでに言うと、この3つはAI に書かせるときにもそのまま使えます。人に渡すか AI に渡すかの違いだけで、必要な材料は同じです。AI 側の話はこちらに書きました。

続かない原因は、置き場所がないこと

ここまで読んで「たしかにそうだが、うちにそんな資料はない」と思われたかもしれません。

ほとんどの場合、情報は持っています。残す場所がないだけです。

打ち合わせで「前にこれで失敗した」と話している。アンケートに生々しい言葉が書かれている。前回なぜ直したかも、そのときは分かっていた。

ただ、置き場所が決まっていないので、3ヶ月後には消えています。だから発注のたびに、思い出せる範囲で指示を書くことになる。そして「なんか違う」がまた始まります。

顧客ごとの情報と、自分の判断基準を分けて貯める設計は、こちらにまとめました。

まとめ

  • 「なんか違う」は制作者の能力ではなく、正解が絞れない発注で起きる
  • 属性とトーンだけでは正解が何十通りも作れる。当たるかどうかが運になる
  • 指示を細かくすると、指示していない箇所で外れる。制作者も無難な選択に寄る
  • 渡すべきは答えではなく判断材料。①何に裏切られてきたか ②実際に使っている言葉 ③違うと判断した理由
  • 渡し方は3点。発注と同時に渡す/1枚にまとめて更新する/修正には必ず理由を添える
  • 材料が整うと外注のほうが速くなる。同じ材料は AI に渡すときにも使える
  • 続かない原因は意志ではなく、置き場所が決まっていないこと

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